第101回 研究会
日程:2025年2月15日(土)14:00~16:45(13:45~入室可)
会場:ハイブリッド開催
● 対面:国際交流基金日本語国際センター2階ホール
埼玉県さいたま市浦和区北浦和5-6-36
☞アクセスはコチラ
● オンライン:Zoom(前日夜までにURLをお送りします)
参加費:1,000円
申し込み(必須):
① 2月10日(月)昼12:00までに、下記URLからお申し込みください。
☞ https://x.gd/yuE0g
※申込時に問題が生じた場合は、事務局<sanka@jsl-kanji.com>まで、ご連絡ください。
② 2月12日(水)昼12:00までに、参加費(1,000円)をご入金ください。
※参加申し込みフォーム内に口座情報があります。
注:ゆうちょ銀行への振り込みが困難な場合のみ、Peatixで入金することが可能です。
③ 会場(対面)参加の方は、直接会場にお越しください。
オンライン参加の方(①②が完了した方)には、2月14日(金)の夜までにZoomのURLをお送りします。
注:会場(対面)参加の場合も事前の参加申込と参加費の支払いが必要です。
参加申し込みをしていない方は会場に入ることができません。
★参加申込特典★ 下記2点が参加費に含まれます。
➀ 研究会終了後、講演の動画を1週間程度、限定公開いたします。
② ポスター発表のポスターの内容をPDFで共有いたします。
プログラム
1.講演(14:00-15:30)
- 研究と実践の螺旋的循環-研究資源を活かしたクラス活動型中上級漢字語彙学習の実践-
- 徳弘 康代(名古屋大学)
- 要旨(ご挨拶):自分は研究を常に実践での困りごとに応えることを目的に行ってきました。「漢字は一体いくつ覚えればいいのか」という学習者の絶望感溢れる問いに、各自の目標に向かっていくつぐらい、どのような方法で学習するかを学習者自らが決められるような客観的データを、教師が示せるようにするための漢字語彙の調査研究を行ってきました。そして、その研究から、資料を作成し、それを教材化し、実践に還元してきました。さらに、その教材や学習法の実践から新たな研究課題・困りごとが浮かび、それを解決するための調査、教材の開発、授業への還元を繰り返してきました。今回は、これまでに行ってきた漢字語彙の調査研究で作成した資料を、どのように漢字教育の実践に取り入れてきたかをいくつかの例を挙げて紹介します。漢字学習は自分一人の覚える作業で終わってしまうことが多いですが、それをクラス活動にしていくために資料をどのように活用できるかを具体的に述べます。一例として、漢字語彙36000語のデータからクラス活動に活かせる素材を抽出し、学習者個々人が他者との学びの中で漢字とその語彙を自分のものとしていく場を提供する活動を提案します。今回取り上げる教材はすべてwebで公開していますので、いつでもどこからでもご利用いただけます。皆様のこれからの漢字教育実践のお役に立つことがあれば幸いです。
2.ポスター発表(15:40-16:25)
- 介護福祉士国家試験に向けての漢字学習 #日本語教育参照枠 #ブルーオーシャン戦略
- 池田 敦史(安房医療福祉専門学校南房総校)
- 2008年のEPA受け入れ以降、非漢字圏学習者の介護福祉士国家試験受験者が増加した。当初、漢字の壁は高く思われたが、多くの学習者が努力の末に合格を掴んだ。発表者は国家試験のための授業を長らく担当し、その軌跡を現場で目の当たりにした。学習者は従来の漢字学習のプロセスを経ずとも、国家試験の難解な漢字語彙を攻略し、正解を導き出していた。従来のやり方を根本的に見直す経営手法である「ブルーオーシャン戦略」を参考に、学習者負担を減らし、効率的に目標達成する指導法を模索した。これは「できること」に焦点を当てる「日本語教育参照枠」の考え方と重なるのではないだろうか。今回の発表ではその途中経過について報告する。
- 記号接地の観点から漢字学習を考える
- 関 麻由美(津田塾大学)
- 「言語記号の意味を「自分事」として理解するためには、言語記号自体を学習するとともに、言語記号の指し示すものを自身の体験へ接地すること(「記号接地」)が必要」(渡邊2014)と言われる。漢字学習においても、ただ暗記するのではなく自分自身の感覚の伴う経験が必要だと考える。ポスター発表では、記号接地にかかわる先行研究を漢字学習にどう応用したら良いかを考える。また漢字マップを作成する活動の中で、学習者がどのように漢字語を自身の体験に接地させているかを見るとともに、この活動においてデジタルツールの強みを生かせる可能性についても提案したい。
- メンタル不調を抱える日本語教師の漢字指導に関する難しさ-カウンセリングでの語りから-
- 濱川 祐紀代(早稲田大学日本語教育研究センター)
- 本研究は、メンタル不調を自覚する日本語教師(非常勤)のカウンセリングを行い、漢字指導に難しさを感じている人がどのようなストレスやメンタル不調を抱えているか明らかにすることを目的とする。クライエントは、他科目の授業でCan-doシラバス等で教えることの良さを知っており、工夫をしてきているが、漢字は単調に教科書を進めていくしかないとした。また、コーディネーターに相談しても無駄だと思っており、仕事を続けるためにはこのままやるしかないとも語った。さらに、上司には相談できないことや、仕事をもらう立場で意見が言いづらいことなどの問題が見られた。今後は教師のメンタル不調の対策や予防法についても検討を進めていきたい。
- 日本語を専門としない中長期在留者に見られる漢字学習の事情ー中国語およびミャンマー語母語話者の事例からー
- PHOO PWINT PHYU(国際交流基金日本語国際センター)
- 在日外国人の中では、日本語を学習し、大学や職場で主に日本語を使用する人もいれば、日本語の学習経験があるものの、学校や職場で日本語使用の機会が少ないという滞在者も存在する。漢字学習についての研究には、前者を対象としたものが多く見られるが、後者に関する研究は比較的少ない。本発表では、日本語を専門としない中長期在留者の漢字学習の事情を探ることを目的とし、日本の大学に在学している中国語母語話者の大学院生1名および日本の会社に就職しているミャンマー語母語話者在留者1名に半構造化インタビューを行い、その結果を報告する。
- 漢字字源に内在する「水」の持つ価値
- 山田 京子(早稲田大学)・神谷 佳那(杏林大学国際協力研究科)・Noriko K. Williams(前American University)・小山 真理(文化学園大学)・小山 由記(フリーランスエンジニア)・永澤 よしゆき(ジャパン・ビット・イノベーション[JBI])・徳弘 康代(名古屋大学)
- 象形やその組み合わせから具体的なものを表す漢字は多いが、そこから漢字の字義が抽象的に展開していくものも多い。漢字・漢字語彙学習者、特に非漢字圏の学習者の中には、中上級以降、抽象的に展開していく漢字語彙の習得に困難を感じるものも少なくない。漢字教育では、字源を用いた指導も広く行われているが、漢字の字源が語彙として使われる中でどのように抽象的な字義にまで展開していくかを説明しているものは多くはないようである。そこで、本研究では、字義がどのように抽象的に発展するかに注目し、その学習を通じて漢字の語彙を増やしていく学習法を提案する。今回は、水の部首を含む漢字の字源とその語彙における字義の展開を調査し、様々な水の在り方、生活とのかかわり、水を人間がどうとらえているかを分析し考察する。このような考察を学習に取り入れることで、より深い漢字・漢字語彙の理解と習得につなげていくことを試みる。
◆オンライン参加に関する注意事項◆
①Wi-Fiの状況や機器の問題で講演の配信が中断・中止されることがあります。
その場合は、後日公開される動画にてご視聴ください。(返金の予定はありません。)
②ポスター発表はオンラインで視聴することができません。
後日共有されるポスターデータ(PDF)で内容をご確認ください。
質問やコメントがある場合は、事務局が仲介し、発表者に届けることといたします。
緊急事態が生じた場合について
何らかの問題が生じ,研究会を延期または中止とする場合は,研究会サイトにお知らせを掲示し,さらに参加申込者全員にメールにてお知らせいたします。
会誌購入のお願い
- 会誌は研究会HP<→https://jsl-kanji.com/kaishi/>にてお買い求めいただけます。また会場で販促も行い、一部はセール(割引)も行います。
- 会誌購入の代金は、研究会の運営費として運用してまいります。
その他
- 2025年度の発表者を募集しております。日程は、2025年4月26日(土)午後、2025年7月19日(土)午後、2025年11月1日(土)午後、2026年2月7日(土)午後、オンラインで開催の予定です。応募手続きについては<→https://jsl-kanji.com/happyo/>をご確認ください。
- 第101回研究会に関するお問い合わせは<sanka@jsl-kanji.com>までお願いいたします。